先日、文庫版で4分冊になっている村上春樹の『騎士団長殺し』の1巻目を買ったところ、すぐに読みきった。翌日には残りの3巻も全て買ってしまった。
ストーリー展開の手練ぶりもさることながら、やはり文体そのものの魅力が大きい。正直なところ、あの文体で書かれていれば電動ドリルの取扱説明書だって難なく読めるだろう(そんなものが未来永劫存在するとは思えないが)。
…もちろんこの一文は春樹を模したものだ。いうだけ野暮だが。
私の記憶では、物語を読むことに熱中していたのは10歳くらいまでで、それ以降小説とは「ほどほど」の付き合いにとどまっていた。しかし最近は久々に、心が小説を読むことを強く欲している感覚がある。
出町商店街の喫茶店で、大学の職員組合の委員長をやっているヘーゲルの研究者を見かけた。黄色いパーカーを着ていた。