「人間の才能」展

滋賀県立美術館の「人間の才能」展に行ってみた。

滋賀県美ははじめて行った。駅からのアクセスはあまりよくないが、建物自体は最近改装されたこともあり結構いい感じでくつろげる。

「人間の才能」展はいわゆるアール・ブリュット系の作品展なのだが、私が惹かれたのは「生み出すこと生きること」という副題である。私もいよいよ文章を書くことを生活の中心に据えるにあたり、何かを作るとはどのようなことなのか?という問いについて、少しずつ考えようとしていたところだったのでお誂え向きと感じたのだ。

今回、そのような問いに対する応答の手がかりは十分に得られたといえよう。

まず序言でティム・インゴルドの『メイキング』が引用されており、「作るとはどのような行為か?」という問いに対する応答を目指す観覧者にとっては非常にテンションの上がる構成となっていた(この目端のきき方は素晴らしいと思ったら、保坂健二朗のキュレーションであった)。

アール・ブリュットの作品は同じような形や線の反復が多い。そういう反復をみていると、制作中の身体動作のリズムと、それが継続される様子が浮かび上がってくる。

それでいて小さくまとまっているような作品はひとつもない。ここが本当にすごいと思った点である。

制作過程が、完成像に向かって作業を段階的に進めていく、というようなものではないことが感じ取られる。制作するという行為は意図的になにかを表象することというよりは、筆を持って動かし続けたり、糸を縫い続けたりするその継続のなかで起こる現象のようなものなのだろうと思った。

作家たちを追ったドキュメンタリー映像も一緒に上映されていた。そこではみな制作の道具をもち制作に没頭していた。家族の支援も印象的であった。何かを作るというのはやはり人を巻き込む過程でもある。

なんかあんまり大したこと書いてないな…。

しかし、作るとはなにか、書くとはなにか、研究とはなにか、ということは問い続けていきたいと思う。その点を問わなければ自分が何をやっているかわからなくなってしまう。