出町柳駅と京大の間に養正団地という大きな市営住宅の団地がある。あまり知られていないと思うのだが、この先6、7年かけて、規模を縮小したかたちで建て替えられるらしい。
きょう、団地のなかの小学校で誰でも参加できるタウンミーティングのようなことをやっていたので行ってみた。
市の計画は私の目から見ても突っ込みどころが多く、参加していた団地住民からは鋭い指摘が飛んだ。
計画によると、新住棟の建設地はいまの団地の敷地の南端と北端のみに残されるらしい。現在はその中間にあたるスペースに10階建ての住棟が2棟(10棟と11棟)あり、これらが団地内ではもっとも大きいのだが、この2つは取り壊されて空き地になる。
この真ん中のスペースの利用方法については未定ということらしいが、団地住民のほうからは「このスペースを民間に売り払ってマンションでも建てたら団地は完全に分断される」と懸念が示されていた。
また、養正団地は高齢化が著しく入居率も半分を切っている一方で、同和行政の一環として建てられた歴史的経緯から、いまだに入居者の一般募集をしていない。規模を縮小して建て替えたとしても、このまま募集をしないままならいまと同じように空き家が増えるだけではないか、という指摘も団地住民からあった。
出町駅のすぐ裏で、左京区のなかでは一等地に近いといっていい。そんな場所に閑散とした大きな建物がずらっと並んでいるのは、なかなか興味をそそられることだとは思ってはいたが、ちょっと近寄りがたい雰囲気があってあまり足を踏み入れたことがなかった。
京阪三条駅の南側の市営住宅も含め、たぶん市としては、なんというか、もう少し介入できる余地がないかと思うだろう。京都駅の南側の崇仁地区でやったように…。ただ養正団地のある田中地区も濃厚な地域的コンテクストをもっている場所なのでそんなに一筋縄ではいかないだろう。
何も知らないので、この件についてはもう少し調べたい。というか、養正団地の建て替えの一部始終は絶対誰か記録していたほうがいいだろう。今後のタウンミーティングもできるだけ出てみたいと思う。
そして、この現象が理論的にどのように説明できるのかというのも考えたほうがいい。結局スラムクリアランスの一環として考えてしまっていいのか。建て替えの話は過去にはなかったのか。とりあえず市の側の動きとしては崇仁地区建て替えから(あるいはもっと前があったのかも)連続していることは間違いないので、市の動きはもう少し昔から追ってみたほうがいいだろう。
京都で興味深いのはやはり、崇仁地区、三条の南側、出町、といかにも土地に需要がありそうな場所に市営住宅が集中している点だろう。京都に来てからずっと、どうしてこうなったのかと思っていたが、その問いに取り組む時が来たのかもしれない。
養正団地が作り替えられるなら、京大関係者にも影響は及ぶだろう。団地の10棟と11棟は出町〜京大エリアでは一番大きくて目立つ建物なので、あれがなくなったら景観も相当変わるだろう。京大関係者にとっても大問題ではないか?
ちなみに養正団地にはスターハウスもある。スターハウスを日常的に見れるって結構すごくないですか?